【東大式】絶対に合格したい気象予報士

【東大式】絶対に合格したい気象予報士

気象予報士試験に独学で合格した、東大生のブログ

休憩時間にスマホを触らない方法7選

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こんにちは。

東大生気象予報士のゆきまるです。

 

7月も後半となり、気象予報士試験に向けて勉強時間が増える方も多いかと思います。

この勉強時間の間の時間(いわゆる休憩時間)に皆さんは何をして過ごしていますか?

読書をする、おやつを食べるなど、人によって様々な休憩方法があるかと思います。

 

その中の1つに、「スマートフォンをいじる」というものがありますね。

さて、休憩中にスマートフォンをいじっていると、こんな経験をしたことがないでしょうか。

 

  • メールチェックだけするつもりが、SNSにも手が伸びてしまい、長時間経過
  • 息抜きのゲームで数時間費やしてしまった
  • ネットニュースの内容が気になり、その後の勉強に集中しにくかった

 

 スマートフォンというデバイスを身近に扱える昨今の状況では、容易に起こりうることだと思います(私、ゆきまるにも経験があります)。

この「時間を無駄にしてしまった」という後悔は、テスト前になればなるほど痛感するものです。

 

今回の記事では、スマートフォンを休憩中に触らないようにする工夫と、実際にゆきまるがどんな対策をしているかを紹介いたします。

 

 

スマホの悪影響

まず、勉強の休憩時間にスマホを使うとどんな影響があるのでしょうか。

アメリカのRutgers大学から、興味深い研究結果が提示されています。

 

研究者らは、400人を越える学生を次の3つのグループに分け、難解な問題を解かせました。

1つめは、休憩時間にスマホをいじらせるグループ。

2つめは、スマホ以外のもので休憩させるグループ。

3つめは、休憩なしで問題を解き続けるグループ。

 

その結果、休憩時間にスマホを使った学生は、各グループの中で最も精神的な疲労・負荷が大きかったのです。

さらには、スマホ休憩グループは、他集団と比べて20%近くも問題解決に時間がかかり、正答率についても20%近く低いという結果になりました。

研究者によれば、スマホによる休憩は、休憩を全くとらないのと同じ程度の認知機能の低下をもたらすとされています。

(参考: S. Kang & T. R. Kurtzberg, Journal of Behavioral Addictions, 8, 395-403, (2019))

 

このように、スマホの利用によって、問題処理能力が低下する可能性が示唆されているのです。

 

スマホの使用を抑える方法

前章では、勉強の休憩中にはスマホをなるべく触らない方がよい、ということを述べました。

そこでこの章では、スマホの使用時間を減らす方法について紹介していきます。

1. 電源を切る

スマホの電源を切ることで、通知による振動・点灯の影響を受けないようにするという方法です。

「電源をつける」ことをしない限り、ゲーム・SNS・動画などのコンテンツに触れることができないという、強力な手法になります。

2. スマホを視界の外に置く

スマホを視界の外に置き、意識外のものにするという手法です。

実は、電源を切った状態のスマホでも、視界の中に置いてあると、勉強中の認知機能が低下する、という研究結果が報告されています。(参考:A. F. Ward, et al., Journal of the Association for Consumer Research, 2, 140-154, (2017))

電源を切るだけでなく、見えないところに置くようにしましょう。

3. スマホを隠す・封印する

自分の手で触れないような、棚の奥などにスマホを隠してしまうという方法です。

目に見えない位置に置くにとどまらず、より物理的に遠い位置に置くことで、接触の機会をシャットアウトできます。信頼できる友人や家族に預かってもらうというのも有効な手段ですね。

ちなみにゆきまるは、中学受験時代におもちゃを段ボール箱に詰め、ガムテープでぐるぐる巻きにして1年間ほど封印していた経験があります。

4. スマホの使用時間の上限を設定する

アプリなどを通じて、1日に使用できるスマホの時間の上限を設定しておくという方法です。

時間制限中も、電話などは利用できる点は安心ですね。

5. 不要なアプリを消去する

ついついやってしまうゲームなどのアプリを消去するという方法です。

再びインストールするまでアプリを使えないので、強力な抑制方法になりますね。

ゲームのセーブデータは、各種アカウントに紐付ける、またはバックアップをとっておけば、アンインストールしてもセーブデータが消えることはありません

6. スマホを使える時間帯を決めておく

スマホ使ってよい時間帯を、自分の中でルールとして定めておくという手法です。

例えば、夜の8時から9時まで使ってよいと規則化し、その規則を忠実に守るという方法になります。

家族などに、事前にこのルールを伝えておき、この時間帯のみリビングルームスマホをいじるようにするのもよいかもしれません。

また、日中の連絡(メールやSlackなど)に関しては、パソコンで行うようにし、スマホで行わないようにするとよいでしょう。

7. ゆきまるのおすすめ方法と体験談

それでは7つめに、ゆきまるが実際に行っている方法を紹介いたします。

それは「タイマーで休憩時間を管理する」というシンプルな方法です。

 

具体的には、50分間の勉強の後に10分間休憩をとる、というサイクルのタイムテーブルを、勉強を開始する前に組んでおきます。

そして、休憩時間に入ったら、すかさずタイマーをスタートさせます。

さらにタイマーがなった時点で、何があろうとも勉強時間に戻る、というルールを設定しておきます。

 

このスタイルでは、休憩時間にスマホを使うことを禁止しません

それでもこのスタイルを継続することで、ゆきまるは休憩時間のスマホ利用をかなり抑制することができるようになりました。

また、このスタイルに嫌気が差すこともなく、持続的に勉強サイクルに組み込めています

 

その理由は、スマホを規則によって無理やり禁止するのではなく、自らの意志でスマホを使わないという選択をするからです。

 

このスタイルを始めた頃は、ゆきまるも休憩時間に自由にスマホを使っていました(メールチェックやSNSなど)。

しかし、スマホ使用時に過ぎる10分間は、(体感的に)あっという間にすぎます。

他の休憩(お菓子を食べる・読書する)に比べて、時間の過ぎ方が早いように感じるのです。

よって、タイマーが鳴るまでの10分間のスマホ休憩では、休憩時間が物足りなく感じてしまいます。

そこで、次第にスマホ以外の休憩方法を自然と行うようになりました。

お菓子を食べたり、読書することで、休憩時間の満足度を上げようとしたのです。

このとき、まさに自らの意志でスマホ以外の手段を休憩の方法に選ぶようになったのです。

この場合、「スマホ禁止」といった強制感がないので、抵抗感なくスマホ使用を抑制できます。

よって、スマホを使わない休憩スタイルが長続きするのです。

 

まとめ

今回の記事では、休憩時間にスマホ使用を抑える方法を紹介いたしました。

  • スマホを物理的に使いづらい状況にする(見えない場所に置く、電源を切る)
  • スマホの使用時間を制限する(アプリなどによる使用時間管理)
  • 休憩時間をタイマーで管理する(ゆきまるお勧めの方法)

休憩時間に「正しく」スマホを利用して、効率的な勉強ができるようにしましょう。

特別警報とは?

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こんにちは。

東大生気象予報士のゆきまるです。

 

現在(2020/7/7)、前線の影響により、西日本や東海の各地で断続的に激しい雨が降っています。

記録的な大雨になり、特別警報が出された九州北部など、各地で河川の氾濫や土砂災害の危険が高い状況になっています。

気象庁の発表を引用したものが、次のようになります。

 

 福岡県、佐賀県長崎県の市町村に大雨特別警報を発表しました。特別警報を発表した市町村では、これまでに経験したことのないような大雨となっています。
 特に土砂災害警戒区域や浸水想定区域などでは、土砂崩れや浸水による何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高く、警戒レベル5に相当する状況です。命を守るために最善を尽くさなければならない状況です。
 ※ 指定された避難場所へ向かうことにこだわらず、川や崖から少しでも離れた頑丈な建物の上の階などに避難をする判断をしてください。それすら危険な場合には、崖と反対側の二階以上の部屋に移動するなど、少しでも命が助かる可能性の高い行動をとることが重要です。
 また、普段災害が起きないと思われているような場所でも最大級の警戒が必要です。 気象庁HP(https://www.jma.go.jp/jma/press/2007/06c/202007061730.html

 

命を守るために、最大限の注意と警戒が必要になることが読み取れます。

どうか、各地で発表される情報をこまめに確認して、自身と身の回りの人たちの命を守るための行動を恐れずに、厳重な注意をしてください。

 

この翌日には、気象庁から次のような発表がありました。

 

 福岡県、佐賀県長崎県では、このままの状況が続けば、発表している大雨特別警報は警報に切り替えとなる見込みです。
 ただし、これまでに降った大雨により、大分県において、筑後川で氾濫し、浸水が始まっています。
 大雨特別警報が警報に切り替わった後も油断することなく、地元市町村が発令している避難勧告(警戒レベル4)等に従って身の安全を確保してください。
 各地の河川事務所や気象台などが発表する河川の氾濫に関する詳細な情報に留意し、引き続き安全な場所に留まるなど、厳重に警戒してください。

気象庁HP(https://www.jma.go.jp/jma/press/2007/07a/202007071020.html

7/7の11:40に、特別警報から警報への切り替えが行われたのです。

しかし、特別警報が警報に変わったからといって、安全になったわけではありません。雨も降り続け、河川の氾濫や土砂災害が起こりうる地域はいまだにあります。依然として厳重な警戒が必要です。

 

今回の記事では、大雨特別警報とは何なのかを説明いたします。

気象庁の用いる語句を正しく理解することで、大雨などによる現状を正しく把握し、身の安全の確保に役立てることを目指しましょう。

 

特別警報とは

特別警報は、警報・注意報と同様に市町村単位で発表され、都道府県知事・市町村長の意見を聴いて発表基準が決められています。

気象庁は、「大雨、地震津波、高潮などにより重大な災害の恐れがある場合、警報を発表して警戒を呼びかけます」。さらに、この警報の基準をはるかに上回るような大雨や大津波等が予測され、「重大な災害の起こるおそれが著しく高」い場合、特別警報が発表されます。(引用:気象庁HP

特別警報が対象とするのは、とてつもない人数の死者・行方不明者を出した東日本大震災における大津波や、日本での最大の潮位を記録し、伊勢湾台風の高潮などの、かつてないほどの現象です。

数十年に一度の、これまでに経験したことがないような、重大な危険が差し迫っている異常な状況なのです。直ちに地元市区町村の避難情報に従うなど、命を守るために適切な行動をとる必要があります。

 また、特別警報が発表されていない・切り替えられたから安全になるわけではありません。発表される気象情報、注意報や土砂災害警戒判定メッシュ情報などを活用して、手遅れにならないような素早い避難活動が重要になります。

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特別警報の伝達(気象庁HPより

図が示すように、テレビ・ラジオ・インターネットなどを通じて、自分から正しい情報に素早くアクセスすること・正確な情報を身近な人に共有することが重要だと言えます。

参考・引用:気象庁HP

大雨特別警報とは

今回発表された大雨特別警報について説明いたします。

大雨特別警報は、「避難勧告や避難指示(緊急)に相当する気象状況の次元をはるかに超えるような現象をターゲットに発表するもの」で、「発表時には何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高い」とされています(引用:気象庁HP)。

災害の危険がある場所から避難できていない住民が直ちに命を守る行動を徹底し・災害が起きないと思われている場所でも災害の危険があることを示し・危機感を共有して被害を食い止め、防災支援活動を強化する役割があります。

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/image/ooame.png

とるべき行動は、図のようになります。

  • 災害がすでに発生している可能性が非常に高く、命を守るために最善の方法をとる。
  • 特別警報が発表されていない地域でも、発表を待たずに、避難勧告等に直ちに従い、周囲の大事な人にも声がけしながら自主的に避難する
  • 周囲の状況が見えづらい夜間は、特に気をつけて行動する
  • 気象庁HPなどの「危険度分布」の情報など、周囲の災害発生の危険度をこまめに確認する

また、数十年に一度の大雨の予想の場合に大雨特別警報が発表されます。具体的には、

  • 48時間降水量及び土壌雨量指数において、50年に一度の値以上となった5km格子が、共に50格子以上まとまって出現
  • 3時間降水量及び土壌雨量指数において、50年に一度の値以上となった5km格子が、共に10格子以上まとまって出現

のいずれかの条件を満たすと予想され、また雨が降り続くと予想される場合で、いずれかの危険度分布で最大危険度が出ている市町村に対して、大雨特別警報が発表されます。

 

まとめ

今回は特別警報と大雨特別警報についてお話しました。

  • 特別警報は、重大な災害の恐れがあるときに発表される警報の基準をはるかに上回るような現象が予測され、重大な災害の起こるおそれが著しく高い場合に発表されます
  • 特別警報発表時は、数十年に一度の異常事態が差し迫る状況。直ちに命を守るために適切な行動をとる必要があります。

  • 特別警報が発表されていない・切り替えられたから安全になるわけではない

気象庁の発表やその他の情報に対して、正しい知識と理解を持ちましょう。そして手遅れにならないような、先を見据えた避難活動や、正確な情報収集・共有ができることを願っています。 

【教材編2】参考書の選び方のススメ【気象予報士・学科試験(一般知識)】

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お久しぶりです。

東大生気象予報士ゆきまるです。

 

以前の記事で、気象予報士試験の学科試験(一般知識)の教材を紹介しましたが、その続きとなります。今回はゆきまるが実際に使用したものや、書店で目を通したものを紹介いたします。

試験を受けようと思っている方のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

 

学科試験(一般知識)の教材

新 百万人の天気教室

新 百万人の天気教室

新 百万人の天気教室

  • 作者:白木 正規
  • 発売日: 2019/04/28
  • メディア: 単行本
 

一般知識だけでなく、専門知識にも触れられています。数式を多用していないために、初学者におすすめの本です。内容も幅広いために、試験合格に向けて着実な基礎の地盤作りができると思います。前書である「百万人の天気教室」は改定前のものなので、購入する際には「新」のついた改定後のものを購入するとよいでしょう。

 

気象予報士かんたん合格テキスト

気象予報士かんたん合格テキスト 〈学科・一般知識編〉

気象予報士かんたん合格テキスト 〈学科・一般知識編〉

 

おすすめする方も多い、学科一般知識の入門書です。数式が平易に記述されているので、数式が苦手な方でも安心して理解できるようになっています。ただし、理系で数式を理解するのが好きな方にとっては、数式の解説に疑問が残るかもしれません。

全体的にわかりやすい言葉で解説され、デザインも見やすくなっており、初学者には大変おすすめです。

演習問題も載っていますが、量は少なめなので、他の演習書でカバーする必要があるかもしれません。

また、誤植や、読みづらい箇所もあるようですので、購入する際にはなるべく新しい版を購入するとよいでしょう。

 

気象予報士合格ハンドブック

気象予報士合格ハンドブック

気象予報士合格ハンドブック

  • 発売日: 2010/04/01
  • メディア: 単行本
 

学科専門知識や実技試験についてもまとめられています。演習問題も記載されています。詳細な解説や理論づけは書かれていないので、他の参考書で学習した後に、復習のためにざっと読み通すような本だと感じました。

 

気象予報士かんたん合格 解いてわかる必須ポイント12

気象予報士かんたん合格 解いてわかる必須ポイント12

気象予報士かんたん合格 解いてわかる必須ポイント12

  • 作者:中島 俊夫
  • 発売日: 2014/07/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

問題演習をし、解説を読んで学習していく書籍です。学科試験が中心ですが、実技試験についても少し記述されています。イラストを混じえながら解説されており、見やすい上にわかりやすい内容となっています。

他の教材で基礎を作った上で、ワンポイントとして付け加える教材だと感じました。

 

気象予報士試験標準テキスト 学科編

気象予報士試験標準テキスト 学科編 (LICENCE BOOKS)

気象予報士試験標準テキスト 学科編 (LICENCE BOOKS)

  • 発売日: 2009/11/01
  • メディア: 単行本
 

「一般気象学」をよりわかりやすく、気象予報士試験向けにまとめたような内容です。専門知識にも対応しています。版の古いものは、情報が古かったり誤植があるかもしれません。

 

読んでスッキリ! 気象予報士試験 合格テキスト

読んでスッキリ! 気象予報士試験 合格テキスト

読んでスッキリ! 気象予報士試験 合格テキスト

 

学科専門知識にも対応しており、実技試験においても回答に必須の基礎事項が記載されています。字が大きいために見やすく、赤シートにも対応しています。ざっくりと気象学の概要をなぞるにはいいですが、個々の知識の詳細については触れられたいないように思いました。

 

解いてスッキリ! 気象予報士学科試験 合格問題集

解いてスッキリ! 気象予報士学科試験 合格問題集

解いてスッキリ! 気象予報士学科試験 合格問題集

 

学科試験の問題集で、一般・専門知識ともに約110問ずつ、実際に試験に出た過去問が収録されています。赤シートにも対応しており、一通り学科試験の内容に精通したのちに、ざっと解くのによいかもしれません。

ただし、収録されている過去問の年数が少なめであることや、Amazonレビューによると誤植が多いこと、数式が難解であることには注意が必要でしょう。

 

気象庁ホームページ

www.jma.go.jpある意味「公式」の参考書ですね。幅広い知識が記載されており、学科の専門試験や実技試験にも通じる多くの情報が得られます。ネットの情報であるために、最新の情報や言葉の定義を確認できます。また、ただただ天気予報や天気図を眺めるだけでも、大変勉強になると思います。

 

気象系You Tubeチャンネル


昨今では動画による教材やオンライン授業が身近なものになり、世の中に浸透してきています。気象学に関しても、良質な内容のコンテンツが増えてきています。

You Tubeでのおすすめのチャンネルは、Team SABOTEN 気象専門STREAM.です。その中でも、学科試験に関して特におすすめなのが「だいたい3分ラーニング」です。その名の通り、おおよそ3分ほどで学科試験に関する内容が非常にわかりやすく理解できます。

 

まとめ

今回は、気象予報士試験の学科試験(一般知識)に関する参考書を紹介いたしました。以前の記事で紹介した、気象学のバイブル的書籍である「一般気象学」なども参考にしながら、着実に気象学の基礎を形成していきましょう。

【試験に向けて】当日の持ち物まとめ

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こんにちは。

東大生気象予報士ゆきまるです。

 

今回は、気象予報士試験の本番に持っていく持ち物について紹介したいと思います。

気象予報士試験に限らず、模試やセンター試験、入学試験など、あらゆる試験に活用できる内容になっていると思うので、ぜひご覧になってください。

記事の終わりには持ち物のチェックリストも用意してあります。

 

さて、気象予報士試験の受験案内書に記されている、机の上に置いてよいものは以下のようになっています。

  • 鉛筆またはシャープペンシル(いずれも HB 黒)
  • プラスチック製消しゴム
  • ものさしまたは定規(分度器付きのものは不可)
  • コンパスまたはディバイダ
  • 色鉛筆
  • 色ボールペン
  • マーカーペン
  • ルーペ
  • ペーパークリップ
  • 時計
  • (電卓・分度器は不可)

これらを踏まえた上で、当日何を持っていくとよいのか見ていきましょう。

 

受験票

受験番号の把握や、受験者証明のために必須です。気象予報士試験に限らず、まず最初にバックに入れたか確認しましょう。念のためコピーをとっておくと安心です。

鉛筆・シャープペンシル

学科試験はマークシート形式で行われます。また実技試験は記述式ですが、消しゴムで修正することが多々あります。ですので、解答の筆記用具としては、ボールペンなどではなく、鉛筆・シャープペンシルを用いましょう。色は黒にしましょう。硬さとしては、HBが推奨されているようですね。

鉛筆削り

鉛筆を使う方向けの用具ですね。休憩時間中に、鉛筆を適度に削って試験に備えるとよいでしょう。

シャープペンシル(やコンパス)の替え芯

こちらはシャープペンシルを使う方向けですね。

私ゆきまるは、試験本番に替え芯ケースを机の上に置いていたところ、注意を受けてしまいましたので、あらかじめ芯を数本シャープペンシルに補充しておくのが無難かもしれません。

輪ゴム・鉛筆キャップ

鉛筆は机の上で容易に転がります。試験中に床に落として、監督の方に拾ってもらってもらうのは、時間のロスにもなりますし、精神面上もあまりよくありません。なので、転がりにくい多角形の鉛筆を使うか、転がらない仕様の鉛筆キャップをつけておくか、輪ゴムで束にしてまとめておくと机の上でも転がりません。

消しゴム

解答を書き直すことは多々あるので、必須の文具ですね。机の上から落下したときのことを考慮して、2個ほど持っていくのがおすすめです。

色鉛筆・色ボールペン・マーカーペン

天気図の解析をするときに使います。問題文の重要単語に印をつけるのにも使えますね。むやみやたらにたくさんの色を持っていくのではなく、普段から使っている色だけを持っていくとよいでしょう。

定規

天気図上で、長さを測るときに使います。また、実技試験で、問題用紙から天気図の束を点線で切り離すときに、問題用紙を押さえるのにも使えますね。

ペーパークリップ

気象予報士試験では、大量の枚数の天気図を扱います。問題を解いているうちにバラバラになってしまい、探す手間が生じてしまうのを防ぐのにクリップを使います。

ルーペ

問題文の文字が読み取りづらい方には必須です。天気図が細々としていて見づらいときにも使えますね。

コンパス・ディバイダ

以前コンパスの活用法の記事でも紹介したように、コンパスは非常に便利です。低気圧の中心の位置の転写、暴風域の把握、などその用途は多岐に渡ります。忘れないように気をつけましょう。

時計

試験会場には時計がないこともありますし、時計がずれている可能性もあります。また、実技試験は、時間内に解き終わらないこともあるほどのかなりの分量ですので、時間の管理は大変重要になります。持ち込みは任意となっていますが、気象予報士試験に限らず、あらゆる試験で必須のアイテムだと思います。音の出ない時計を持っていくようにしましょう。

セロハンテープ

先程鉛筆の落下防止についてお話ししたように、試験中に物を机から落とすのはなるべく避けたいところです。机の上には筆記用具以外に、落下しやすいものとして受験票があります。天気図を何度もめくる気象予報士試験においては、特に受験票を落下しやすいと言えます。これを防ぐために、セロハンテープを用いて、受験票を机に貼り付けておくといいかもしれません。

段ボールの切れ端・厚紙

会場次第ではありますが、机がガタつくことがあります。このせいで集中力が削がれたりしてはあまりに勿体無いです。なるべく良い環境下で受験するためにも、対策としてオススメなのがガタつく足と床の間に、折りたたんだ段ボールや厚紙を挟むことです。厚さは少し足りないかもしれませんが、ティッシュペーパーを折りたたんで挟み込んでもよいですね。

教材・ノート

試験が始まるまでの間や、休憩時間にも勉強することができます。現在天気や雲の記号の確認など、暗記する事柄の多い気象予報士試験では、直前の学習も効果的かもしれません。普段から使い慣れている教材やノートを持っていくと頼りになりますね。また、試験直前にサッと見通しできるように、要点をまとめたノートをつくっておくといいかもしれません。

イヤホン・耳栓

休憩時間には疲れた頭を癒したり、緊張をほぐしたりとなるべくリラックスしたいものです。自分の世界に没頭するのに、イヤホンや耳栓は一役買ってくれます。ただし、くれぐれも音漏れには注意です。

携帯電話・スマートフォン

いざというときの連絡手段や、道に迷ったときに地図を見るためにも必要です。ただし、試験中には電源を切り、音が出ず、振動しないようにしましょう。万が一試験中に音を立ててしまうと、周りにも迷惑がかかりますし、自身の精神衛生上もよくありません。

モバイルバッテリー

もしスマートフォンの充電に自信がない、という方は持っていくとよいでしょう。モバイルバッテリー自体にも、事前に充電しておくことを忘れないようにしましょう。

財布・ICカード

交通機関を利用したり、飲み物を買ったりと、何かと現金・ICカードは手放せません。十分な金額を用意しておくとともに、小銭や千円札も十分に用意しておくとよいでしょう(自動販売機では千円札以下しか使用できないので)。

保険証・身分証明証

万が一のために携帯しておきましょう。また車で試験場へ向かう方は、くれぐれも運転免許証を忘れないようにしましょう。

メガネ・コンタクト

当然ですが、問題が見えないと解答できません。問題用紙を見るのに適した道具を必ず持参しましょう。コンタクトレンズの方も、予備のコンタクトやメガネを持っていくと安心です。

薬(目薬や胃腸薬など)

常備薬がある方は、なるべく持っていきましょう。ただし、眠くなるなどの副作用がある場合には、飲むタイミングに注意する必要があります。

マスク

突然風邪を引くかもしれませんし、何かとマスクをつけたい場面があるかと思います。数枚忍ばせておくと安心です。

雨具

気象予報士を目指す者としても(?)、雨には降られたくないものです。事前に天気の状況をよく確認して、必要そうならば折り畳み傘などを持っていきましょう。

ハンカチ・ティッシュ

何かと必要になりますね。暑い季節ならば、汗拭き用に厚手のハンカチやタオルがあるとよいでしょう。

防寒具・手袋・カイロ・膝掛け

冬場の試験の場合、会場は暖房で暖かいこともあれば、冷えていることもあります。着脱でき、温度調節のしやすい服装にするとよいでしょう。また、冬場に手がかじかむと、思ったように筆記ができなくなってしまいます。手袋やカイロを持参して対策しましょう。

夏場の場合、冷房が効きすぎていて冷えてしまうことがあるので、膝掛けなどがあると安心ですね。

飲み物

休憩時間が短くて買いに行く暇がなかったり、慣れない会場ですと、自動販売機が見つからないことがあります。事前に購入しておくと安心ですね。

私ゆきまるは、大事な試験を受ける際には、気分転換用の甘い飲み物(午後の紅茶など)、カフェイン摂取のためのコーヒー、口の中をすっきりさせるためのお茶の三本を用意しています。

ただしカフェインを含むコーヒーなどは、トイレの頻度が高まってしまうので注意ですね。

お昼ごはん

慣れない会場では、少ない休憩時間にお昼ごはんを買いに行ったり、食べに行ったりする余裕がない可能性があります。近くにコンビニなどがある場合でも、たくさんの受験生が殺到し、目当てのものが買えなかったり、レジに長時間並ぶ可能性もあります。事前に準備しておくとよいでしょう。

お菓子

休憩時間に脳をリフレッシュさせるために、チョコレートなどがあるといいかもしれません。こちらも当日買うのではなく、あらかじめ買っておくのがオススメです。

ビニール袋

お菓子の包みや消しカスなど、試験会場でも何かとゴミが出てしまいます。ゴミ袋として持っておくとよいでしょう。

リップなど

リップやハンドクリームの類など、普段欠かせないものがある方は持っていきましょう。

アゴ

髪が長い方で、勉強中に邪魔にならないよう髪を結ぶ方はぜひ持っていきましょう。

お守り

お守りがある方はぜひ持っていきましょう。大丈夫だと思っていても、いざ会場に着くと緊張することもあります。そんなときにお守りがあると心強いですね。

まとめ

今回は試験に持っていくものについて紹介しました。

事前に準備できることで、試験本番の精神的・肉体的ストレスを軽減できることがあればなるべくやっておきたいものです。その一つが持ち物をよく考えておくことだと思います。試験当日何時に起きて、どの経路で会場へ行き、休憩時間はどう過ごすのか、などといったことをあらかじめ脳内でシュミレーションし、それに必要な物品をあらかじめ用意しておくようにしましょう。

また持ち物は前日ではなく、3日前にはおおむね決めていたほうが良いかと思います。新たに購入しないといけないものが発覚したときに、試験直前では慌ててしまいますからね。

また、意識すべきことは、試験本番でいかに実力を発揮できる環境をつくるか、または、いかに普段勉強しているのと同じ環境をつくれるか、ということです。持ち物にこだわることで、少しでもよい環境づくりができるのではないかとゆきまるは考えております。

 

最後に、今回の記事で紹介した持ち物のチェックリストを用意しましたので、ぜひご活用ください。

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 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

試験に向けた隙間時間の活用

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こんにちは。

気象予報士試験に独学で合格した、現役東大生のゆきまるです。

当ブログでは、気象予報士試験に向けた勉強法などを紹介しようと思います。

 

さて、私たちが日々通勤・通学に費やす時間はどれほどでしょうか。

電車などによる移動時間が1日1時間ほどだとすると、1ヶ月で30時間ほどになります。1日をも越える、かなりの時間を移動に費やしていることになりますね。

この毎日の時間を有効に活用できたら、小さな積み重ねが大きな成果に結びつくでしょう。

 

実際に私ゆきまるも、アルバイトなどのため、移動時間に2、3時間を費やしていました。なので、時間を有効に使うべく、移動中も勉強するように心がけていました。

 

今回はどんな勉強を移動中にやっていたのか、紹介したいと思います。

 

 

ノートや参考書

電車の中で、周囲にある程度の空間があるときには、ノートや参考書を開いて眺めていました。電車の揺れ、話し声など、外部からの影響が大きい環境ですので、内容に没入する読解系ではなく、さらっと読める暗記系の教材を用いるようにしました。例えば、静力学平衡の問題を頭の中で解く、といったことは控え、気象法規などの眺めるだけで大丈夫なものを扱いました。

さて、中には電車で読むにしては分厚かったり、重い参考書がありますよね。そこで私は参考書をバラバラにして、小分けにしました(本を分解することに抵抗があるかもしれませんが、個人的には参考書は学習のためにすり減らしてなんぼだと思っております)。下の写真が実際に小分けにした参考書です。背中にはマスキングテープを貼りました。

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 私は『気象予報士かんたん合格テキスト<学科専門知識編>』をこの方法でよく読んでいました。

 参考書をバラバラにする方法ですが、こちらの記事が参考になります。

まずは背表紙をアイロンで温めます(火傷・火事には要注意!)。次第にのりが溶けてくるので、カバーを引き剥がします。最後にカッターなどを使って小分けにします。その後クリップや、マスキングテープなどでまとめるとよいでしょう。

教材が驚くほど軽くなるのでおすすめです。

 

電子書籍やPDFにしたノート

こちらはスマホを利用した方法ですね。気象に関する電子書籍を読んだり、スキャンした自分のノートなどを読むとよいでしょう。

スマホであれば書籍に比べてそんなに場所をとらないので、混雑した車内でも学習しやすいと思います。

 

気象予報士試験用アプリ

以前、気象予報士試験 学科試験(一般知識)の教材の記事で紹介したように、一問一答タイプのスマホアプリが販売されています。ユーキャンの『気象予報士 一問一答』などですね。

気象予報士 一問一答』は○×を選ぶクイズ形式でサクッと学習できるので、じっくりと集中することが難しい電車内では非常に取り組みやすい教材だと思います。

 

単語カード

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単語カードは非常にコンパクトなので、ポケットにも忍ばせやすいですね。

現在天気や、雲の記号など、気象予報士試験は暗記しないといけないことがたくさんあります。これらをなるべく多くの機会、目で確認して定着させるのに、単語カードは有用でした。

 動画を見る

スマホを活用して動画を見ることもできます。YouTubeに気象関連のおすすめのチャンネルがあるので、紹介します。Team SABOTEN 気象専門STREAM.です。


 

このチャンネルには良質なコンテンツが豊富にあります。学科試験についてコンパクトにまとめてある「だいたい3分ラーニング」、気象防災に関する「気象防災アドバイザーTV」、丁寧な解説の「ザッキーのThe Key Point」などなど。無料で視聴できるとは思えないほどの高いクオリティです。移動時間だけでなく、日常的に視聴しているとかなりの力がつくと思います。

 

まとめ

今回は移動時間中の隙間時間の活用方法についてお話ししました。

ぜひ隙間時間を活用してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

【気象予報士】使ってはいけない? 「テーパリングクラウド」問題

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こんにちは。

気象予報士試験に独学で合格した、現役東大生のゆきまるです。

今回は気象予報士試験にも出てくる、「テーパリングクラウド」についてお話ししようと思います。

テキストや気象関連の本で見かける「テーパリングクラウド」という単語ですが、実は、この単語は使わない方がよいという意見があります。

その理由と、気象予報士試験における「テーパリングクラウド」の扱いを紹介しようと思います。

 

 

テーパリングクラウド」とは

テーパリングクラウド」とは、以下のようなものです。

下層の顕著な収束帯のある場所で対流セルが継続的に発生し,セルが風下に流されている間に積乱雲に発達し,雲帯の幅が増大していくというプロセスが長時間繰り返されて出来た雲帯

小倉義光『テーパリングクラウドという名称について』

 

テーパリングクラウド

上図の衛星画像(出典:高知大学気象情報頁)の赤丸で示したものが「テーパリングクラウド」です。下層に湿った空気、中上層に乾燥した空気があるという、大気の成層状態が悪い状況において、下層で暖かく湿った空気が収束し、積雲が発生し、さらに発達して積乱雲になります。そして積乱雲は西風に流され、さらに発達を続けることで積乱雲群の幅はどんどん大きくなります。このため「テーパリングクラウド」は、三角形で、人参や毛筆のような形状をしています。

また、積乱雲1つの寿命は短いですが、積乱雲が次々と発生し、集団になっている「テーパリングクラウド」の寿命はより長く、数時間程度になります。よって、激しい雨突風などに十分に注意する必要があります。

テーパリングクラウド」問題

さて、冒頭で述べたように実は「テーパリングクラウド」という用語は使用しない方がよい、という意見があります。それはなぜでしょうか。

端的に表現していらっしゃるのが、学科試験(一般知識)の教材の記事でも紹介した名著、『一般気象学』の作者の小倉先生です。以下が先生の記事の引用になります。

 

もともとtaperという動詞は,手元のウェブスター辞書によると,to decrease gradually in width or thicknessである. 衛星赤外雲画像で見れば ,確かに風上に向かって幅が狭くなっている雲帯である. だからtapering cloudを訳せば先細りの雲となるだろう. しかし実情は,…(中略)…先細りでなくて,末広がりの雲である. つまり,バックビルディングのメソ対流系に他ならない

小倉義光『テーパリングクラウドという名称について』

 

つまり、テーパ(taper)とは、「幅や厚さが徐々に減少する」ということです。なので、「テーパリングクラウド」は先細りの雲という意味になります。

確かに三角形の形をしている、という観点だけなら「テーパリングクラウド」でも問題ないでしょう。しかし、その成因は先程も述べたように、雲が風上から風下へ流される間に発達して幅が広がるというものです。なので、先細りの雲ではなく、末広がりの雲が正しい表現である、ということです。記事中で、最後に先生は以下のようにおっしゃっています。

 

要するに, にんじん状(carrot-shaped)雲,筆の穂先雲,V字型雲,バックビルディング雲,どれでもよいが,テーパリングクラウドだけは使用しない方がいいのではないかという提案である

小倉義光『テーパリングクラウドという名称について』

 

今回の件に限らずに、きちんと意味を考えて言葉を使わなければいけませんね。

気象庁のホームページには…

さて、実は気象庁の天気予報等で用いる用語のページでも、「テーパリングクラウド」について触れられています。

気象庁ホームページ、天気予報等で用いる用語

テーパリングクラウド」の欄には、「使用を控える用語」である×マークがついています。代わりに「にんじん状の雲」を使うように促されていますね。やはり「テーパリングクラウド」は使わない方がよさそうです。

気象予報士試験での「テーパリングクラウド」の扱い

実は気象予報士試験の問題文中に「テーパリングクラウド」という単語が記載されたことがあります(第46回気象予報士試験の学科試験(専門知識)など)。もし実技試験の問題文中に「テーパリングクラウド」という単語が出てきた場合、記述の解答には問題文に則って、「テーパリングクラウド」を使った方がよいかもしれません。

しかし問題文中に「テーパリングクラウド」が出てこない場合、別の用語を使ってよいと思います。気象庁のホームページにものっており、小倉先生も言及していらっしゃるにんじん状の雲などを使うとよさそうですね。

さて、私の個人的なおすすめは「人参雲」です。「人参雲」であれば、字数をわずか3文字に抑えられるので、解答に字数指定のある気象予報士試験の実技試験でも有用だと思うのですが、いかがでしょうか。

まとめ

今回は「テーパリングクラウド」を巡る問題についてお話ししました。

  • テーパリングクラウド」は使わない方がよいのではないか
  • 「にんじん状の雲」などの表現が適切か
  • 「にんじん状の雲」は、下層で暖湿気が収束し、生じた積乱雲が発達しながら風に流されてできる、「末広がりの雲」であり、激しい雨や突風にも注意する必要がある
  • ゆきまるの個人的なおすすめ表現は「人参雲」

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

【気象予報士試験】コンパスの活用法まとめ【実技試験対策】

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こんにちは。

現役東大生、気象予報士ゆきまるです。

当ブログは、独学で気象予報士試験に合格した勉強法などを綴る備忘録となります。

 

さて、今回紹介するのはコンパスの使い方です。

実技試験で使用するこのコンパス、慣れれば非常に使い勝手がよいので、しっかりと使い方をマスターしましょう。

 

 

試験に持ち込み可能なもの

 試験中に机の上に置いてよいものは以下のようになっています。逆に言うと、これ以外は持ち込めないので注意しましょう。(実際に私は、シャープペンシルの替え芯ケースを机の上に置いていたところ、注意を受けてしまいました)

  • 鉛筆またはシャープペンシル(いずれも HB 黒)
  • プラスチック製消しゴム
  • ものさしまたは定規(分度器付きのものは不可)
  • コンパスまたはディバイダ
  • 色鉛筆
  • 色ボールペン
  • マーカーペン
  • ルーペ
  • ペーパークリップ
  • 時計
  • (電卓・分度器は不可)

実はコンパス(またはディバイダ)、持ち込みが必須となっています。それだけ重要度が高い文具である、ということですね。

気象予報士試験におけるコンパスの使い方

ではどのような場面でコンパスを使うのでしょうか。順番に見ていきましょう。

低気圧の中心位置などの転写1

実技試験では、低気圧中心の位置の時間変化や、高度ごとの低気圧中心の位置の対応が求められることがあります。その際、低気圧中心をコンパスで転写することで、比較が容易になります。

例えば下図(出典:気象庁HP)で、図1(9時)にあった低気圧を、図2(21時)に写すことを考えます。

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まずは下図のように、図1の左下の角にコンパスの針を刺し、ペンの部分を低気圧の中心まで広げます。

そして開いた角度が変わらないように注意しながら、図2の左下の角に針を刺します。このとき、図1で刺した部分と同じ場所に刺すことに注意しましょう。そして円を少し描きます。

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同じ作業を、下図のように、天気図の右下の角に針を突き刺して行います。そうすると、先程描いたコンパスの線と、今描いている円の線が交わります。この交点が低気圧の中心です。

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以上により、低気圧の中心を転写することができます。ただし、2つの天気図の縮尺が異なっている場合、見当違いな所に交点ができてしまうので、上のような方法は使えません。

低気圧の中心位置などの転写2

次にトレーシングペーパーとの合わせ技による転写の方法を紹介します。トレーシングペーパーは、持ち込むことはできないのですが、実技試験の際に配布されます。

まずは、下図のように、天気図の上にトレーシングペーパーを重ねます。そして天気図の4つの頂点の所と、低気圧の中心に目印を描きます。

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その後、下図のように転写したい天気図の上にトレーシングペーパーを重ねます。先程4つの頂点に目印をつけたので、同じ位置にトレーシングペーパーを重ねられます。そして低気圧の中心を、コンパスの針を使って下の紙まで貫通するように刺します。これによって低気圧中心の位置に穴が開くので、転写が完了しました。

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新たな経線を引く

気象予報士試験では、低気圧中心などの緯度と経度を問われることがあります。ところが、天気図には10°ごとにしか経線と緯線が引かれていないので、緯度・経度が目視ではわかりづらいことがあります。そのようなときに、新たに経線を引けば低気圧中心の位置がわかりやすくなります。

例えば下図において、東経135°の線を新たに引きたいとします。

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まずは下図のように、東経135°から等距離にある2点を選びます。

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次に下図のように、1点を中心にして適当な半径の円を描きます。

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そして、下図のように、もう1点からも同じ半径の円を描きます。

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このようにしてできた交点を下図のように結ぶと、東経135°の線を引くことができます。

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これはいわゆる「垂直二等分線の作図」ですね。また、東経135°と130°の線に対してさらに垂直二等分線を引くことで、新たに132.5°線を引くことができます。

台風の暴風域の把握

台風の勢力が、時間が経っても変化しないと仮定します。つまり、台風の暴風域の半径が現在から変化しないとします。このとき、予想天気図の台風の中心に、現在の暴風域と同じ半径の円を描くと、どの地域がいつ暴風域に入るかを予想できます。

しかし、円に中心が描かれていない場合、円の半径がわからないので、同じ形の円の作図は困難です。時間のない試験中は、大体の半径の作図で十分ですが、正確に同じ円を作図する方法を紹介します。

まず、下図のように円周上に適当に3点をとります。

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次に、線分ABに対して、先程「経線を引く方法」で説明したように、垂直二等分線を引きます。

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最後に、線分BCの垂直二等分線を引きます。こうしてできた交点が円の中心になるので、円の半径を把握することができます。これによって同じ円を作図することができるようになりました。

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まとめ

今回はコンパスの使い方を紹介しました。

  • 低気圧中心などの転写
  • トレーシングペーパーとの合わせ技による転写
  • 経線の描画
  • 台風の暴風域の把握

最後に、コンパスは練習しないとなかなかうまく使いこなせません。実技の過去問などを利用して、コンパスをうまく扱えるようにしましょう。

 

【教材編1】どの教材を使おう…? 最高だったのはあの名著!?【気象予報士・学科試験(一般知識)】

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こんにちは。

現役東大生、気象予報士ゆきまるです。

 

前回の記事(「気象予報士試験とは」)でお話しした通り、気象予報士試験は3つの分野の試験を受けることになります。

 

  • 学科試験(一般知識)
  • 学科試験(専門知識)
  • 実技試験

 

この中で今回は最初の関門、学科試験(一般知識)の教材についてお話ししようと思います。今回紹介しきれなかった参考書や、勉強法については今後の記事でまとめるつもりなので、少々お待ちください。

 

 

試験範囲

公式ホームページによると、以下のようになっています。

  • 大気の構造
  • 大気の熱力学
  • 降水過程
  • 大気における放射
  • 大気の力学
  • 気象現象
  • 気候の変動
  • 気象業務法その他の気象業務に関する法規

 

正直抽象的で判然としないのですが、大まかに分けるなら次の二つになります。

 

  • 気象の物理的メカニズム
  • 気象業務に関する法律

 

実際の試験がどんなものかは、過去の試験(公式ホームページ)を見てみるとわかりやすいかと思います。

さて、例えばどんな知識が問われるのか? の一例を以下に示します。

 

  • 対流圏界面対流圏の上の等温層であり、その高度は夏に高く、冬に低くなる
  • 成層圏では、オゾンが紫外線を吸収することで大気を暖める
  • コリオリ力は、北半球では進行方向に対して右向きに働く

 

専門的な用語も多く辟易としてしまいそうですね…。さらに範囲もかなり広いですし、物理だけでなく、数学的な力(試験では計算をしたり、ベクトルの考えを用いることもあります)も必要になります。

しかし、この学科試験(一般知識)は、気象の基礎とも言えるところで、この知識を盤石のものにしておけば、この後に続く学科試験(専門知識)や実技試験に必ず活きるので、めげずに頑張りましょう。

事前知識は必要か?

気象予報士試験を受ける方には様々な背景の方がいるかと思います。昔から天気が好きな方、お天気キャスターになりたい方、難しい資格をとるチャレンジをしたい方、文系の方、などなど。予報士試験のスタート地点において、どれほど気象に(または物理・数学に)精通しているかはまちまちです。私も大学では天気に全く関係のない学部にいるので、勝手が違うこともよくありました。

さて、気象予報士試験を受けるにあたって、様々な数式が出てくるかと思います。理想気体の状態方程式、静水圧平衡の式、熱力学の法則などなど。ここで問題になるのが、どの程度までこれらの数式を理解すればよいのか、ということです。数式を1から証明できた方がよいのか、それとも公式として丸暗記すればよいのか。

もし証明レベルまで踏み込むならば、数学的な知識も必要で(わかる方にはよいと思いますが)大変厄介です。

あくまで私の考えですが、気象予報士試験に合格するだけなら、数式の厳密な背景には踏み込まず、公式として丸暗記してしまえば十分だと思います。実際の試験も、公式を上手に使えば解けるものが多いです。こういう意味では、文系の方や、数学・物理に苦手意識のある方でも、問題なく試験に臨めると思います。

また、気象に関する知識がほとんどない方(私もそうでした)でも大丈夫です。素敵な名著がありますし、天気を愛する気持ち・合格したい精神があれば合格できます。

教材の選び方

これから私の使用教材を紹介しますが、少し注意したいことがあります(言わずもがなかもしれませんが)。

それは私のサイトだけでなく、様々な情報源から参考書の情報を得ることと、実際に書店で参考書の中身を確認することです。

世の中には教材・参考書が溢れかえっています。その全てを確認して、最適な一冊を選ぶのは至難の業です。なので、ある程度気象に詳しい人のお勧めする教材の中から選定するのが効率的です。しかし、ネットで検索するとわかるように、様々な立場の人が、様々な見地から、様々な理由でもって参考書を紹介しています。ですので、たくさんの情報源から自分にとっての良書を見つけるとよいでしょう。

そして何より実際に手にとって参考書の中身を確認してみてください。紹介されている本が自分に合うかは、やはり体感してみないとわかりません

スクールに通う方は、スクールの教材と先生のおっしゃることを信用して、しっかりと取り組むとよいと思います。スクールの教材は、先生のポリシーや信念のもと選定されているかと思います。その上で、スクールの教材では物足りない、もしくは難しすぎると感じることもあるかもしれません。そのときには自分で教材を付け足すとよいでしょう。

どのような教材を使ったか

以下が私の使用教材の紹介になります。少しでも参考になれば幸いです。

一般気象学

www.amazon.co.jp私はスクールに通っていないので、使用教材の選定には悩まされました。何を使えばよいのか、どの程度までやればよいのか、どのくらいの期間をかけてよいのか…。そんな中、ネットで調べていると「ある本」がやたらと讃えられているのを発見しました。それがこの小倉義光先生著の一般気象学です。

紛れもない学科試験(一般知識)のバイブルだと思います。色々なサイトで「参考書として一冊は持っておくべき」「気象学入門の決定版」などといった賛辞を呈される名著です。学科試験(一般知識)の法律を除く部分をほぼ網羅できます

この本の素晴らしいところは、必要な情報が、端的に、わかりやすくまとめられていることです。大気の物理が、図を交えながらこれでもかと熱心に説明されています。教材をこなす中で、私は学科試験(一般知識)の法律以外はこの本で十分だと確信し、この他に一般知識用の教材はほとんど用いませんでした。ぜひ一度、書店や図書館で手にとって中身を確認してみてください。

数式や文字が多く感じるかもしれませんし、初学者には難しすぎるかもしれません。しかし先述の通り、数式の証明は無視して公式(結果)のみ覚えるので構いませんし、試験を受けるための知識以上に詳細な部分は、読み飛ばしても大丈夫だと思います。それでも難しいな、と思う方は今度紹介する教材をお勧めしますが、ある種の「辞書」代わりに一般気象学を手元に置いておくことをお勧めします。

個人的には最高の名著だと感じました。

気象予報士 一問一答

www.gakushu-app.jp資格取得で有名なユーキャンから出ている一問一答タイプの参考書です。私は通学などの時間もなるべく勉強したいとの思いから、このスマホアプリの一問一答を購入しました(書籍ベースでも出版されているようです)。

上記の一般気象学は、気象に関する法規に触れていないため、このアプリを用いて主に気象法規に関する部分を勉強しました。基本的には通学の電車の中、といった場面で利用しました。

このアプリのいいところは、一問一答形式(○×形式)になっており、サクサクと問題が解けるところです。解説もあります。また赤シート形式で、きちんと覚えられているかの確認もできます。

 

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気象に関する法規は、全てを覚えようとすると煩雑です。実際に試験で問われる部分は限られているので、このように法規に関してまとめられたものを利用するとよいと思いますし、このアプリは一般知識も専門知識もまとめられているので、使い勝手がよいです。

まとめ

今回は2つの教材を紹介いたしました。

  • 一般気象学」…難しいが、法律関連以外の一般知識を網羅できる良書
  • 気象予報士 一問一答」…アプリなので、通勤・通学時間にも手軽に勉強できる

次の記事ではこの他の学科試験(一般知識)の教材も紹介しようと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

 

気象予報士試験とは

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ご挨拶

こんにちは。

気象予報士試験に合格した、現役東大生のゆきまるです。

当ブログは、私の勉強法などを備忘録として書き綴るものとなります。

 

さて、私は独学でなんとか気象予報士試験を乗り切りました。

試験勉強中は、同志がいないことの寂しさや、勉強法が正しいのか、などといった不安にかられることもありました。この原因には「気象予報士試験に合格するための方法が流布していない」ことがあると思います。

 

そこで当ブログでは、スクールに通う方や独学で学ぶ人全員に、私の経験談や勉強への取り組みを発信していきたいと思います。ほんの少しでも、参考になることがあれば幸いです。

 

気象予報士とは

気象予報士は、気象庁の提供する気象データを、適切に利用できる技術者を確保するため、平成6年に創設されました。

気象の現象の予想は、法律で気象予報士しか行えないことになっています。

というのも、気象の予測は専門性の高いことであり、防災にも密接に関連することなので、粗雑な予測をすれば人命に関わることになるからです。そういう意味で、気象予報士はエキスパートであると同時に、大きな責任を持つことになります。

 

気象予報士試験について

合格率はわずか5%

気象予報士試験の日程、受験資料、試験の過去問などは公式のホームページから参照できます。気象予報士になるには、気象予報士試験に合格する必要があります。

試験は全国6都道府県で行われます。

1年に2回実施されるこの試験、年齢の制限のないボーダレスなものでありながら、合格率がわずか5%ほどという、非常に難関な試験となっています。このことからも、きちんと対策しないと受からない、覚悟の必要な試験だとわかります。

試験の構成

学科試験(一般知識)

選択式(マークシート形式)で15問出題されます。試験時間は1時間です。

そのうち11問ほどは気象に関する物理的な知識や、気象現象に関する知識が問われます。残りの4問ほどは気象に関する法律についての出題となります。

学科試験(専門知識)

選択式(マークシート形式)で15問出題されます。試験時間は1時間です。

一般知識が物理的な側面が強いのに対して、専門知識では観測データの取り扱い、観測設備の性能、予報システムの評価といった、暗記面の強い試験である一方、学科試験(一般試験)や後述の実技試験との複合的な問題も多々見受けられます。

実技試験

試験時間は75分で、2セット行われます。(合計で2時間半の試験です)

長いように感じますが、実際に解いてみると全然時間が足りない、ということもよくあります。

実際に天気図を見て気象の状況を判断する、学科試験に比べるとより実践的な試験になります。また、普段ニュースなどで目にする地上天気図だけでなく、下のような高層天気図(地上より上の気圧における天気図)を解析せねばなりません。

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出典:気象庁ホームページ

初めて見るときはわけがわからないと思います。大丈夫です。次第に慣れます。

合格基準

  • 学科試験:一般試験、専門試験ともに15問中11問
  • 実技試験:総得点が7割以上

が合格基準となっています。しかし、難易度を考慮して、合格基準が引き下げられることもあります。

また、学科試験2つと実技試験を全て合格しないと気象予報士にはなれないのですが、学科試験(一般試験か専門試験)を受かった場合、それ以降1年間は学科試験(学科試験か専門試験)が免除されます。

まとめ

気象予報士試験は非常に難関な試験であり、出題の幅が広いために、網羅的な学習をしなければなりません。

大変ではあるのですが、それだけに取得する価値のある資格だと思います。

今後は勉強法についての記事も書こうと思っておりますので、一緒に頑張りましょう。