【教材編1】どの教材を使おう…? 最高だったのはあの名著!?【気象予報士・学科試験(一般知識)】
こんにちは。
現役東大生、気象予報士のゆきまるです。
前回の記事(「気象予報士試験とは」)でお話しした通り、気象予報士試験は3つの分野の試験を受けることになります。
- 学科試験(一般知識)
- 学科試験(専門知識)
- 実技試験
この中で今回は最初の関門、学科試験(一般知識)の教材についてお話ししようと思います。今回紹介しきれなかった参考書や、勉強法については今後の記事でまとめるつもりなので、少々お待ちください。
試験範囲
公式ホームページによると、以下のようになっています。
- 大気の構造
- 大気の熱力学
- 降水過程
- 大気における放射
- 大気の力学
- 気象現象
- 気候の変動
- 気象業務法その他の気象業務に関する法規
正直抽象的で判然としないのですが、大まかに分けるなら次の二つになります。
- 気象の物理的メカニズム
- 気象業務に関する法律
実際の試験がどんなものかは、過去の試験(公式ホームページ)を見てみるとわかりやすいかと思います。
さて、例えばどんな知識が問われるのか? の一例を以下に示します。
専門的な用語も多く辟易としてしまいそうですね…。さらに範囲もかなり広いですし、物理だけでなく、数学的な力(試験では計算をしたり、ベクトルの考えを用いることもあります)も必要になります。
しかし、この学科試験(一般知識)は、気象の基礎とも言えるところで、この知識を盤石のものにしておけば、この後に続く学科試験(専門知識)や実技試験に必ず活きるので、めげずに頑張りましょう。
事前知識は必要か?
気象予報士試験を受ける方には様々な背景の方がいるかと思います。昔から天気が好きな方、お天気キャスターになりたい方、難しい資格をとるチャレンジをしたい方、文系の方、などなど。予報士試験のスタート地点において、どれほど気象に(または物理・数学に)精通しているかはまちまちです。私も大学では天気に全く関係のない学部にいるので、勝手が違うこともよくありました。
さて、気象予報士試験を受けるにあたって、様々な数式が出てくるかと思います。理想気体の状態方程式、静水圧平衡の式、熱力学の法則などなど。ここで問題になるのが、どの程度までこれらの数式を理解すればよいのか、ということです。数式を1から証明できた方がよいのか、それとも公式として丸暗記すればよいのか。
もし証明レベルまで踏み込むならば、数学的な知識も必要で(わかる方にはよいと思いますが)大変厄介です。
あくまで私の考えですが、気象予報士試験に合格するだけなら、数式の厳密な背景には踏み込まず、公式として丸暗記してしまえば十分だと思います。実際の試験も、公式を上手に使えば解けるものが多いです。こういう意味では、文系の方や、数学・物理に苦手意識のある方でも、問題なく試験に臨めると思います。
また、気象に関する知識がほとんどない方(私もそうでした)でも大丈夫です。素敵な名著がありますし、天気を愛する気持ち・合格したい精神があれば合格できます。
教材の選び方
これから私の使用教材を紹介しますが、少し注意したいことがあります(言わずもがなかもしれませんが)。
それは私のサイトだけでなく、様々な情報源から参考書の情報を得ることと、実際に書店で参考書の中身を確認することです。
世の中には教材・参考書が溢れかえっています。その全てを確認して、最適な一冊を選ぶのは至難の業です。なので、ある程度気象に詳しい人のお勧めする教材の中から選定するのが効率的です。しかし、ネットで検索するとわかるように、様々な立場の人が、様々な見地から、様々な理由でもって参考書を紹介しています。ですので、たくさんの情報源から自分にとっての良書を見つけるとよいでしょう。
そして何より実際に手にとって参考書の中身を確認してみてください。紹介されている本が自分に合うかは、やはり体感してみないとわかりません。
スクールに通う方は、スクールの教材と先生のおっしゃることを信用して、しっかりと取り組むとよいと思います。スクールの教材は、先生のポリシーや信念のもと選定されているかと思います。その上で、スクールの教材では物足りない、もしくは難しすぎると感じることもあるかもしれません。そのときには自分で教材を付け足すとよいでしょう。
どのような教材を使ったか
以下が私の使用教材の紹介になります。少しでも参考になれば幸いです。
一般気象学
www.amazon.co.jp私はスクールに通っていないので、使用教材の選定には悩まされました。何を使えばよいのか、どの程度までやればよいのか、どのくらいの期間をかけてよいのか…。そんな中、ネットで調べていると「ある本」がやたらと讃えられているのを発見しました。それがこの小倉義光先生著の一般気象学です。
紛れもない学科試験(一般知識)のバイブルだと思います。色々なサイトで「参考書として一冊は持っておくべき」「気象学入門の決定版」などといった賛辞を呈される名著です。学科試験(一般知識)の法律を除く部分をほぼ網羅できます。
この本の素晴らしいところは、必要な情報が、端的に、わかりやすくまとめられていることです。大気の物理が、図を交えながらこれでもかと熱心に説明されています。教材をこなす中で、私は学科試験(一般知識)の法律以外はこの本で十分だと確信し、この他に一般知識用の教材はほとんど用いませんでした。ぜひ一度、書店や図書館で手にとって中身を確認してみてください。
数式や文字が多く感じるかもしれませんし、初学者には難しすぎるかもしれません。しかし先述の通り、数式の証明は無視して公式(結果)のみ覚えるので構いませんし、試験を受けるための知識以上に詳細な部分は、読み飛ばしても大丈夫だと思います。それでも難しいな、と思う方は今度紹介する教材をお勧めしますが、ある種の「辞書」代わりに一般気象学を手元に置いておくことをお勧めします。
個人的には最高の名著だと感じました。
気象予報士 一問一答
www.gakushu-app.jp資格取得で有名なユーキャンから出ている一問一答タイプの参考書です。私は通学などの時間もなるべく勉強したいとの思いから、このスマホアプリの一問一答を購入しました(書籍ベースでも出版されているようです)。
上記の一般気象学は、気象に関する法規に触れていないため、このアプリを用いて主に気象法規に関する部分を勉強しました。基本的には通学の電車の中、といった場面で利用しました。
このアプリのいいところは、一問一答形式(○×形式)になっており、サクサクと問題が解けるところです。解説もあります。また赤シート形式で、きちんと覚えられているかの確認もできます。
気象に関する法規は、全てを覚えようとすると煩雑です。実際に試験で問われる部分は限られているので、このように法規に関してまとめられたものを利用するとよいと思いますし、このアプリは一般知識も専門知識もまとめられているので、使い勝手がよいです。
まとめ
今回は2つの教材を紹介いたしました。
- 「一般気象学」…難しいが、法律関連以外の一般知識を網羅できる良書
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「気象予報士 一問一答」…アプリなので、通勤・通学時間にも手軽に勉強できる
次の記事ではこの他の学科試験(一般知識)の教材も紹介しようと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。