特別警報とは?
こんにちは。
東大生気象予報士のゆきまるです。
現在(2020/7/7)、前線の影響により、西日本や東海の各地で断続的に激しい雨が降っています。
記録的な大雨になり、特別警報が出された九州北部など、各地で河川の氾濫や土砂災害の危険が高い状況になっています。
気象庁の発表を引用したものが、次のようになります。
福岡県、佐賀県、長崎県の市町村に大雨特別警報を発表しました。特別警報を発表した市町村では、これまでに経験したことのないような大雨となっています。
特に土砂災害警戒区域や浸水想定区域などでは、土砂崩れや浸水による何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高く、警戒レベル5に相当する状況です。命を守るために最善を尽くさなければならない状況です。
※ 指定された避難場所へ向かうことにこだわらず、川や崖から少しでも離れた頑丈な建物の上の階などに避難をする判断をしてください。それすら危険な場合には、崖と反対側の二階以上の部屋に移動するなど、少しでも命が助かる可能性の高い行動をとることが重要です。
また、普段災害が起きないと思われているような場所でも最大級の警戒が必要です。 気象庁HP(https://www.jma.go.jp/jma/press/2007/06c/202007061730.html)
命を守るために、最大限の注意と警戒が必要になることが読み取れます。
どうか、各地で発表される情報をこまめに確認して、自身と身の回りの人たちの命を守るための行動を恐れずに、厳重な注意をしてください。
この翌日には、気象庁から次のような発表がありました。
福岡県、佐賀県、長崎県では、このままの状況が続けば、発表している大雨特別警報は警報に切り替えとなる見込みです。
気象庁HP(https://www.jma.go.jp/jma/press/2007/07a/202007071020.html)
ただし、これまでに降った大雨により、大分県において、筑後川で氾濫し、浸水が始まっています。
大雨特別警報が警報に切り替わった後も油断することなく、地元市町村が発令している避難勧告(警戒レベル4)等に従って身の安全を確保してください。
各地の河川事務所や気象台などが発表する河川の氾濫に関する詳細な情報に留意し、引き続き安全な場所に留まるなど、厳重に警戒してください。
7/7の11:40に、特別警報から警報への切り替えが行われたのです。
しかし、特別警報が警報に変わったからといって、安全になったわけではありません。雨も降り続け、河川の氾濫や土砂災害が起こりうる地域はいまだにあります。依然として厳重な警戒が必要です。
今回の記事では、大雨特別警報とは何なのかを説明いたします。
気象庁の用いる語句を正しく理解することで、大雨などによる現状を正しく把握し、身の安全の確保に役立てることを目指しましょう。
特別警報とは
特別警報は、警報・注意報と同様に市町村単位で発表され、都道府県知事・市町村長の意見を聴いて発表基準が決められています。
気象庁は、「大雨、地震、津波、高潮などにより重大な災害の恐れがある場合、警報を発表して警戒を呼びかけます」。さらに、この警報の基準をはるかに上回るような大雨や大津波等が予測され、「重大な災害の起こるおそれが著しく高」い場合、特別警報が発表されます。(引用:気象庁HP)
特別警報が対象とするのは、とてつもない人数の死者・行方不明者を出した東日本大震災における大津波や、日本での最大の潮位を記録し、伊勢湾台風の高潮などの、かつてないほどの現象です。
数十年に一度の、これまでに経験したことがないような、重大な危険が差し迫っている異常な状況なのです。直ちに地元市区町村の避難情報に従うなど、命を守るために適切な行動をとる必要があります。
また、特別警報が発表されていない・切り替えられたから安全になるわけではありません。発表される気象情報、注意報や土砂災害警戒判定メッシュ情報などを活用して、手遅れにならないような素早い避難活動が重要になります。
図が示すように、テレビ・ラジオ・インターネットなどを通じて、自分から正しい情報に素早くアクセスすること・正確な情報を身近な人に共有することが重要だと言えます。
大雨特別警報とは
今回発表された大雨特別警報について説明いたします。
大雨特別警報は、「避難勧告や避難指示(緊急)に相当する気象状況の次元をはるかに超えるような現象をターゲットに発表するもの」で、「発表時には何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高い」とされています(引用:気象庁HP)。
災害の危険がある場所から避難できていない住民が直ちに命を守る行動を徹底し・災害が起きないと思われている場所でも災害の危険があることを示し・危機感を共有して被害を食い止め、防災支援活動を強化する役割があります。
とるべき行動は、図のようになります。
- 災害がすでに発生している可能性が非常に高く、命を守るために最善の方法をとる。
- 特別警報が発表されていない地域でも、発表を待たずに、避難勧告等に直ちに従い、周囲の大事な人にも声がけしながら自主的に避難する
- 周囲の状況が見えづらい夜間は、特に気をつけて行動する
- 気象庁HPなどの「危険度分布」の情報など、周囲の災害発生の危険度をこまめに確認する
また、数十年に一度の大雨の予想の場合に大雨特別警報が発表されます。具体的には、
- 48時間降水量及び土壌雨量指数において、50年に一度の値以上となった5km格子が、共に50格子以上まとまって出現
- 3時間降水量及び土壌雨量指数において、50年に一度の値以上となった5km格子が、共に10格子以上まとまって出現
のいずれかの条件を満たすと予想され、また雨が降り続くと予想される場合で、いずれかの危険度分布で最大危険度が出ている市町村に対して、大雨特別警報が発表されます。
まとめ
今回は特別警報と大雨特別警報についてお話しました。
- 特別警報は、重大な災害の恐れがあるときに発表される警報の基準をはるかに上回るような現象が予測され、重大な災害の起こるおそれが著しく高い場合に発表されます
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特別警報発表時は、数十年に一度の異常事態が差し迫る状況。直ちに命を守るために適切な行動をとる必要があります。
- 特別警報が発表されていない・切り替えられたから安全になるわけではない
気象庁の発表やその他の情報に対して、正しい知識と理解を持ちましょう。そして手遅れにならないような、先を見据えた避難活動や、正確な情報収集・共有ができることを願っています。